First Choice 集

有機化学で頻繁に使用される反応についてまとめています。
「教科書にある基本的な化学変換だけど、どういう反応条件を使えばいいんだろう?」と悩んでしまった経験はありませんか。
このページでは様々な変換について”first choice”とも言える代表的な例と特徴を書いています。リンク先では、それぞれの反応の詳細やまず試すと良い反応条件などを紹介しています。

 

<官能基変換 (酸化/還元、保護など)>

アルコールの保護/脱保護

  • シリル保護:保護も脱保護も簡便で種類も豊富、使い勝手が抜群に良い保護基
  • アセタール系保護:酸には弱い一方で塩基に対しては非常に頑丈
  • アシル系保護:塩基には弱い一方で酸に対しては耐性がある
  • ベンジル系保護:酸にも塩基にも比較的強く、特殊な条件で脱保護する

 

アルコール → アルデヒド/ケトン

  • スワーン酸化:温和な条件で試薬も安価、大スケールに適している
  • デス・マーチン酸化:官能基許容性が極めて高く、複雑化合物合成における”first choice”
  • TEMPO酸化:二級アルコール共存下で一級アルコールを選択的に酸化できる
  • 二酸化マンガン:ベンジルアルコール、アリルアルコールを選択的に酸化できる

 

アルコール → ハロゲン化アルキル

  • アッペル反応:温和な条件で反応も速く、塩素化 / 臭素化 / ヨウ素化いずれも可能
  • 塩化チオニル:アルコールのクロロ化によく用いられる
  • フィンケルシュタイン反応:脱離基の交換反応、メシル化またはトシル化などを経由する

 

アルコール → アルカン (脱酸素化)

  • バートン・マクコンビー反応:二工程必要だがよく用いられる反応

 

アルコール → アルケン (脱水反応)

  • バージェス試薬:温和な条件で二級または三級アルコールを脱水できる
  • 西沢・グリーコ法:セレノキシドのsyn脱離を利用する温和な条件

 

アルデヒド、ケトンの保護/脱保護

  • アセタール系保護:最も一般的な保護基、塩基性や還元条件に強い (ジチアンは別項目)
  • ジチアン (チオアセタール):酸素アセタールとは異なりブレンステッド酸に耐性がある

 

アルデヒド → カルボン酸

  • ピニック酸化:非常に温和な条件で、複雑化合物合成における”first choice”

 

アルデヒド → アミン

  • 還元的アミノ化:アミンのアルキル化法として使われることが多い

 

アルデヒド/ケトン → アルコール

  • 水素化ホウ素ナトリウム:比較的温和な還元剤で、エステルとは反応しない
  • ルーシェ還元:α,β-不飽和ケトンの1,2-還元でよく用いられる

 

エステル → アルコール

 

<炭素-炭素結合形成反応>

アルケンの合成

  • ウィッティヒ反応:炭素-炭素二重結合を形成する反応の中では非常によく用いられる
  • ホーナー・ワズワース・エモンズ反応:リンイリドの代わりにホスホナートを利用
  • ジュリア・コシエンスキー反応:低温で反応が進行し、高い選択性が発現しやすい

 

環形成反応

  • ディールス・アルダー反応:六員環形成における”first choice”
  • ロビンソン環化:不斉四級炭素と二環式骨格を構築できる強力な手法

 

クロスカップリング反応

  • 鈴木・宮浦カップリング:圧倒的な官能基許容性、基質適用範囲を誇る
  • スティルカップリング:原料となる有機スズ化合物は単離できることが多く使い勝手が良い